設立趣意書

沖縄少年会館設立趣意書

去った第二次大戦で一度灰燼に帰しました沖縄も、あれから十九年、本土政府や国民の皆様方のあたたかい御支援によりまして、年とともに整い、各面とも落着きを取りもどしつつありますことは感謝に堪えません。

このような状態の中で、一つ青少年の問題だけは時流に乗らず取残こされたようになっていまして残念でなりません。沖縄の青少年問題は何れをとって見ましても好ましい状態にはありませんが、中でも犯罪、非行の問題は年々悪化の傾向にありまして深刻度を加えて参りました。

青少年の問題がこのようになりました原因は、沖縄の場合、根深いものがありましょう。遠く戦争中、戦後の教育のブランク時代に端を発していて、その後社会悪の積みかさねが、心身の発育が充分でない青少年の上にしわよせされたのだと申せましょう。

更に、沖縄の特殊事情下で起こっているいろいろの現象の中には、感じやすい子どもたちに憤懣をおぼえさせたり、希望を失わしめたリすることが頻発していまして、その心理的影響は、大人たちの想像を越えるものがあり、沖縄の青少年問題の不振の根流をなしていると申されています。

尚、青少年問題対策に具体性が欠けているということが、この頃大きく取り上げられて来ました。これまでの沖縄の青少年対策をふりかえって見ました場合、観念的であったことは否定できません。戦後十九年にもなっていますので、理念の上で話し合って終る時ではないと思います。

本土では、青少年を明るく、健全に育成するために、かずかずの社会施設がなされています。公園、児童公園、動植物園、水族館、博物館、図書館、青少年センター、青少年ホーム、体育施設等がそれでございまして、青少年の健全育成に大きな役割を果しています。ところが、沖縄の場合、この種の施設は皆無の状態でございます。

当沖縄子どもを守る会におきましては、このような状態を黙視するにしのびず、数年来「何か具体的な対策をしなければ」と話し合われて来ましたが、今回少年会館を建設して青少年に提供しようということになりました。

沖縄少年会館は、子どもの専用の広場として常時彼等に開放し、研修、訓練、話し合い、教育相談、娯楽の場として提供し、彼等の心のよりどころとして役立てようということであります。114校の離島の学校、北部遠隔地の学校では、毎年の修学旅行の際の那覇宿泊にはいつも頭を痛めています。大きな旅館やホテルは金がかかるし、やすいところは教育的ふんいきでないということでございます。環境も設備もよく、実費で泊れる子どもの宿泊所ができれば、どれ程彼等を明るくすることでございましょう。

更に近年本土の青少年の沖縄訪問がとみに増え、年々数十団体もあります。

姉妹校との交歓や慰問の豆施設、大学高校生の調査研究班などと後をたたない状況であります。沖縄子どもを守る会は、これらの団体の世話をすることも、一度や二度ではありませんが、その都度頭をいためますことは、何処に泊めるかということでした。この悩みはいよいよ増大するのではないかと考えられます。

それは、最近数年の動向から、沖縄を訪れる本土の青少年が年々激増しているからでございます。

本土の青少年が、いろいろな目的で沖縄を訪れ、沖縄の青少年に接してくれるということは、国民感情を養っていくためにも、人間形成のためにも極めて好ましいことであり、今後更に増大することを望んでいます。

その子どもたちの為にも、宿泊所の必要を痛切に感じています。

このように極めて重要な意義を持つ施設でございますけれども、全く浄財を集めて造ろうということでありますので、これが実現を見るためには沖縄の皆さんの協力も無論得なければなりませんが、本土の皆様方の御理解と御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。

この事業は、別紙構想によりまして既に進められ、昭和四十年三月末を期し、完成の予定でございます。

昭和三十九年四月八日

社団法人 沖縄子どもを守る会 会長

屋良 朝苗

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